2009年02月27日

国木田独歩「忘れえぬ人々」。

先日、うしろめたい気持ちで
図書館から大量にゲットしてきた日本文学全集。
さすが日本文学全集である。いい小説ばかりである。
さっそく、国木田独歩「武蔵野」「忘れえぬ人々」読みました。
「武蔵野」を読んでいたら、小金井公園の真ん中を突っ切る
樹影で薄暗くなっている坂道が頭に浮かんできました。
20代の頃、三鷹のアパートから見ていた夕陽が思い出されました。

そして、そのあとに続いていた数ページの「忘れえぬ人々」。
これは、なんの前知識もなく読みはじめたが
完全にヤラれてしまいました。すごい!名作だったんですね!

 * * *

概略は、ある3月の晩、無名の文学者「大津」が多摩川近くにある
溝ノ口の旅館「亀屋」に投宿した。
そこの宿の主人と、二言三言会話したあと、部屋へ通される。
部屋へ行くときは、主人はもう何の挨拶もせず、後ろ姿も見送らない。
それきりであった。

大津は、部屋へ入ると、しばらくして隣の部屋に
投宿していた画家の「秋山」と話し始める。
外は風が吹き、雨が降ってきた。
これでは、明日旅立つのは無理だろうと、
二人は美術論、文学論など夜更けまで話し込む。
そして大津がもっていた「忘れ得ぬ人々」という
原稿を秋山に読んで聞かせる。
「忘れ得ぬ人々」には、大津がそれまで印象に残った
忘れられない人のことが記されていた。

「忘れ得ぬ人々」とは、忘れられない人のことで、
「忘れてはならない人」とは違う。
忘れてはならない人とは、親、子供、知人、恩師などのことで
「忘れ得ぬ人々」とは、恩も義理もない赤の他人でありながら、
なぜか自分のなかで忘れられなくなった人のことである。

大津の忘れ得ぬ人々の1人目は
19歳のときに瀬戸内海を船で旅したとき
ある島の磯で、しゃがんでは何かを拾い、籠か桶に入れていた男。
島から遠ざかるとともに、男は黒い点のようになってしまった。

2人目は、阿蘇山の麓の村で、俗謡をうたいながら
荷車をひいてきた24〜5歳と思われる屈強な身体をした男。
月の光を背にして黒い輪郭が今でも目に浮かぶ、その男が2人目。

3人目は、四国の三津ヶ浜の魚市場近くの
店先で立って琵琶を弾いていた僧。
むせぶような琵琶の調べとともに
沈んで濁って淀んだような声で謡う僧。
だれもこの僧の琵琶の音に耳を傾けず顧みない。
それが3人目、と大津が言ったところで
なぜ大津がこれらの人が思い出されるのか
語りたいと秋山に言う。

夜が更けて、孤独を感じる夜にはなぜか人懐かしくなり
これらの人たちが悠然と僕の心に浮かんでくる。
イヤ、そうではない、これらの人々を見た時の
「周囲の光景の裡(うち)に立つこれらの人々」が浮かんでくる。
これらの人は自分となんの違いがあるか。
みんな天から命を受けて一生懸命生きて
また天に還って行くではないかという気持ちが起こってくる。
ぼくはこのときほど心の平穏を感ずることはない、
このときほど自由を感じることはない、
名利競争の俗念が消えて
すべてのものに対して同情の念が深くなる、と言う。

その後、秋山と語り合ったあの一夜から2年がたち
大津は東北地方のある街に住んでいた。
秋山との交際はまったく絶えた。
ある雨の晩、大津はひとり机に向かって瞑想に沈んでいた。
机の上には、2年前に秋山に示した原稿「忘れ得ぬ人々」が置いてあり、
その最後に書き加えてあったのは「亀屋の主人」であった。
「秋山」ではなかった。

 * * *

う〜ん、、なんと逆転サヨナラホームランのような話。
夜更けまで秋山とあんなに親しく語り合ったのに、
なぜ「忘れえぬ人々」は、秋山ではなく、亀屋の主人だったのか。。。
と書いていたら、窓の外は白い雪やねん。

さようなら/NSP
http://www.youtube.com/watch?v=qJ6-aqQXny4&feature=related&fmt=18


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2009年02月22日

暴走して反省。

きのう図書館に行ったら、入口付近で
リサイクル本を大量陳列・大放出していた。
好きな本は持って帰っていいということで
けっこうな人が集まって物色していたなか
新潮社の日本文学全集10冊ほどゲットして来ました。
明治から大正、昭和時代の名作。
二葉亭四迷からはじまって、泉鏡花、国木田独歩、
森鴎外、谷崎潤一郎・・など、とにかく名作をごっそり。
これでたっぷり読書三昧できる。
10冊はかなりかさばり、持って帰るのも一苦労。
取りすぎたか?
ほかにも読みたい人がいたかも、、、などと反省 ^ ^。
ついつい暴走してしまいますた。。

 * * *

さらにきのうは、ゴールデンウィークに行われる
「フォルジュネ〜バッハ〜」のチケットが
webで販売されたので、さっそくチェックしました。
しか〜し、オイラがみた頃は
すでに人気の演目は、ほぼSOLDアウト状態!
みんな早すぎる・・・。
出遅れたが、なんとか、
ベレゾフスキー、小菅優、小山実雅恵たちの
ピアノの演目を確保しました。
今年のテーマは「Bach is Back!」
って、オヤジギャグや〜。

オヤジ的にはヒラリー・ハーンやな ^ ^
パルティータ2番〜シャコンヌ BWV1004/
http://www.youtube.com/watch?v=5uCdKH_zHVs&feature=related

シャコンヌ.jpg

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2009年02月20日

2.20雑感。

入っていたかんぽ保険が満期になったので
また保険に入ろうかと思い
4〜5社から資料を取り寄せてたが
どうも自分にピタッとした保障のものがない。

60歳位までにすべて払いみが終了して
死亡保障は、まわりに迷惑がかからないように
葬式費用程度の300万くらい、
入院は日額1万円、手術もそれなり、
三大疾病で倒れたときには何度でも一括金、
(何度倒れても安心♪・・)
そして無事故なら3年ごとにお祝い金、
やめたいときには解約返戻金がある・・・
なんてのがあれば入りたいが、
それでは保険会社がもうからないのか
そんなうまい保障内容の保険商品はないなぁ。。。

まあ、いまさらジタバタせず
病気になるときは病気になるがよろしい、
死ぬときは死ぬがよろしいという良寛様の心境でいくか。

* * * 

きのう、「思いっきりテレビ」で
食べ物のカロリーの話をしていたが
そのなかで、
お酒、日本酒、ビール、ワイン、麦焼酎を
高いカロリー順に言ってみそ、というのがあり
オイラはてっきり、日本酒がいちばん高いと思い
(1)日本酒、(2)ビール(3)ワイン(4)麦焼酎
なんじゃないかと思ったが、
なんと
(1)麦焼酎(2)日本酒(3)ワイン(4)ビール。
麦焼酎がいちばんカロリーが高いらしい!
焼酎なら、大丈夫と思って飲んでいたので、これにはびっくり。

さらに「丼」モノで、
カツ丼、親子丼、イクラ丼、ビビンバを
高いカロリー順に言ってみそ、というのもあり
イクラ丼とかの魚卵類は意外と高カロリーなんだよね、
と知ったふりをして
(1)カツ丼(2)イクラ丼(3)親子丼(4)ビビンバの順やろと思ったら、
なんと
(1)カツ丼(2)ビビンバ(3)親子丼(4)イクラ丼の順だった。

イクラ丼は1食分の量にしたら、それほど高くはないらしい。
逆にビンビンバってなんで?と思ったら、
野菜に油がたっぷり付いているからだと言っていてガッテンしました。
なぁ〜るほどねぇ〜。

* * * 

先日、志村坂上を歩いていたら
地井武男がTVクルー7〜8人と一緒に
せかせか歩いていた。
けっこう怖い顔して横断歩道をわたっていた。
「ちい散歩」ぽかったな。チェックしてみよう。

春一番/ハンバートハンバート
http://www.youtube.com/watch?v=prfm3LzJsrQ&feature=related


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2009年02月14日

免許更新。

免許の更新に行ってきた。
この5年間運転歴0なので、
当然「優良」ドライバー♪
ということで近所の警察署で済んだ。

いまはとくに問題がなければ
証明写真は要らなくなっていたのを知らず
せっかく撮って行ったのに、
「あっこれは結構です」って。
ムダになったやんけ〜。

そして、最も恐れていたのが視力検査。
ここ1〜2年でぐっと視力が落ちたので
やばいと思っていたが、
かすみながらも、かろうじてセーフ。。。
次回は絶対メガネやな。。。
半年くらい前から耳鳴りも続いているのだ。。

講習は30分。
思えば、いま講習を受けている人たちは
この時節に生まれた人ばかり、
水瓶座、魚座の人がほとんどか。
同じ星座の人たちが一堂に会するなんて
あんまりないな。。不思議な仲間意識。

そして免許証の写真、
5年前にくらべて確実に老いている。。。

一人の歌/矢野絢子
http://www.youtube.com/watch?v=sSBSOz_zG9k


posted by ボイシー日記 at 11:30| 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月11日

安岡章太郎「海辺の光景」。

年末からだらだら読んでいた
島尾敏雄の「死の棘」をようやく読み終え
(正直しんどかった・・投げ出す寸前でした)
安岡章太郎の「海辺の光景」を読んだら、
なんとなくふたつの小説は「精神病院」つながりで、
オイラの中でつながってしまった。

安岡章太郎は今までノーマークで、
1冊も読んだことがなかったが素晴らしい!
とくに「海辺の光景」はいい。(まだこれしか読んでませんが・・・)

まえから病院系というかサナトリウム系の小説は好きで
堀辰雄の「風立ちぬ」はオイラの中では別格だが
この「海辺の光景」も同じくらいに位置付けたい!

「海辺の光景」は高知の海辺の精神病院に入院している
母を見舞って、死ぬまでの9日間を看病する小説。
眠り続ける母の病室や病院でのさまざまな出来事と
父母、自分の3人家族が歩んできた
昔の家族の回想シーンが繰り返される。

西日があたる暑い病室、執拗に舞う蠅、薄墨色の母の顔色、
室内にこもる臭気、じょくそうの薬品の臭い、膿に濡れたガーゼ・・・。
さらに医者や看護人、隣の病室で四つん這いになって歩く女、
頸にガラス管を付けた男など、描写がじつにリアルで鮮やかだ。

さらに主人公は、母親を入院させるまえ長い間父母と離れて暮らし、
親戚からいじめられているという被害妄想的になってきた
母親からの手紙などを受け取るなかで、
一緒に暮らしていないことにどこか罪悪感を抱き
最後の死ぬ9日間だけでも同じ場所で過ごせたことで
母に対して償えたかと自問自答する。

「9日間だけでも、その間母親と同じ場所に住んでみることで
せめてもの償いにするつもりだったのだろうか?
そもそも母親のために償いをつけるという
考えは馬鹿げたことではないか、
息子はその母親であるというだけで
すでに充分償っているのではないだろうか?
母親はその息子を持ったことで償い、
息子はその母親の子であることで償う。
彼らの間で何が行われようと、どんなことを起こそうと、
彼らの間だけですべてのことは片が付いてしまう。
外側のものからはとやかく云われることは何もないのではないか?」
と書いている。

肉親との別離はつらいものがあるが、
そのとき後悔しないでいられるか、
やれるだけのことをやったかは
人それぞれで何ともいえない。。。

そして、看取ったあとに見る海辺の情景は、
まるで「猿の惑星」で、自由の女神が海辺に立っていたときに
感じた衝撃のようにショッキングなものだった。
文字だけなのに、目の前に浮かび上がる風景は
とても印象深いという言葉だけでは言い尽くせないほど強烈だった。

また、「海辺の光景」のなかに収録されていた短編「蛾」も面白かった。
耳の中に蛾が入って出てこないという話で、
友人も同じ経験をしたことがあったので興味深く読みました。
耳に虫が入ったら、ボール紙の筒と懐中電灯を使い、
光で誘導するのだそうだ。

そして安岡章太郎、ちょいと気になるので、
これからもヤホーでいろいろ調べてみよう♪

愛について/友部正人
http://www.youtube.com/watch?v=n63jgv0yLyI

海辺

posted by ボイシー日記 at 22:24| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月05日

市川崑DVD BOX。

先週は神保町シアターで「こころ」を観てから
バタバタしていてその後の作品を観れていない・・・。
「おとうと」はぜひ観たかったのだが。。
というわけではないが
先日、DVD BOX「アートオブ市川崑」を
1/3ほどの超格安価格で入手しました♪

「処刑の部屋」「満員電車」「穴」
「黒い十人の女」「私は二歳」の5本と
市川崑が大映時代の作品17本を語る
「トレーラーズ」という1本の6本セット。全予告編付き。
パッケージデザインの感覚も斬新。

市川崑は、リアルタイムでは1970年代半ばから
金田一耕助シリーズを観てきたが、
50〜60年代は大映に在籍しながら
すばらしい映画をたくさん撮っている。
まだまだ観た本数は少ないが
コメディあり、社会風刺あり、サスペンスタッチあり。
モダンでドライな仕上がり加減が、とても心地いい。

女優は山本富士子、アヤヤ(若尾文子です♪)、
男優は船越英二、川口浩あたりが多い。
船越英二とえば、オイラ世代はドラマ「時間ですよ」が印象的で、
ホームドラマの顔みたいでなんとなく頼りない印象だが
その前には例えば「野火」では飢餓状況の兵士の役作りのために
絶食して撮影中に倒れたとか、いろいろな話を監督が語っている。

17本の予告編を観ながら監督の語りを聞いていると
「おとうと」「ぼんち」「雪之丞変化」など
まだまだ数々の名作を観ていないことを知った。
日本人なら、映画全盛時代につくられた名作を
ちゃ〜んとおさえておかにゃあイカンと痛感しました。

エリカの花散るとき/西田佐知子 
http://www.youtube.com/watch?v=wS5JhgxqBlA&feature=related

市川DVD5.jpg

posted by ボイシー日記 at 10:09| Comment(0) | 音楽・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする