2009年08月31日

生のパッション、聖家族。

芥川龍之介を卒業したら
堀辰雄へ行くのが、どうやら一般的らしい。
芥川龍之介を読み終え、
気分は大正時代から昭和初期に至り、
ここからまた明治時代に戻って、
森鴎外、谷崎潤一郎あたりを読もうと思っていたが、
なんだか堀辰雄を読みたくなってきた。

堀辰雄は「美しい村」「風立ちぬ」しか読んでいないが
この際、代表作を踏破しようと
芥川龍之介の死を題材にした「聖家族」をはじめ、
「ルウベンスの偽画」「燃ゆる頬」「麦藁帽子」あたりを読んでみた。

 芥川龍之介の「軽井沢日記」を読むと、
 「8月4日。晴。堀辰雄来る。暮れに及んで白雨あり。
 犀星、辰雄と共に軽井沢ホテルに赴き、
 久しぶりに西洋風の晩餐を喫す」などと在る。
 なんでも、室生犀星が、芥川龍之介に
 紹介して以来、親交を深めたらしい。

「聖家族」は、実在した人をモデルにした小説らしい。
偏理(堀辰雄自身)、九鬼(芥川龍之介)、
細木夫人(芥川龍之介の晩年の愛人・片山広子)、
夫人の娘・絹子(堀辰雄が想いを寄せていた人・宗瑛)
との宿命的な四角関係を描いている。

「死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。」
という書き出しの一文は有名らしい。
たしかにどこかで聞いたような。
細木夫人が、九鬼の告別式に参列するところからはじまり
そこで夫人は20歳の偏理に出会い、死んだ九鬼を感じる。
と同時に、娘の絹子も偏理が気になりはじめる。
細木夫人と絹子のふたりが、偏理に心を奪われる。

偏理は、絹子を意識するようになり
絹子との距離をどうとっていいか迷うが
しばらく離れていようと旅に出る。

偏理は、小さな海辺の町へ行く。
うす暗い海岸には、貝殻、海藻、死んだ魚など
おびただしい漂流物があり、死の匂いが漂っている。
それは、あたかも芥川龍之介の小説
「蜃気楼」の中をさまよっている感覚だ。
堀辰雄自身、芥川龍之介の死の淵を
疑似体験しているようだ。

そして、波に洗われている一匹の死んだ犬を見ていたら
「生」への鼓動が高まってくるのを感じる。
一度死の淵を見てから、生まれ変わっていく。
それは、師と仰ぐ芥川龍之介の死を受け入れたうえで
新しく作家人生を歩んでいこうとする決意宣言でもある。

また小説のなかで、偏理(堀辰雄)が、
九鬼(芥川龍之介)の弱さについて語っているところがある。
芥川龍之介は、自分の弱さを見せまいとして
芸術性を徹底的に追求し「人工の翼」で飛んだが、落下してしまった。
人生がポキンと折れてしまったわけだが
堀辰雄は、そんな人間的な「弱さ」を隠さずに
素直に表現したいと書いている。
自分の弱さを表に出すことで、生きる強さを得たともいえる。

I shall be released/真島昌利&友部正人
http://www.youtube.com/watch?v=8g_BPxn4KJA&feature=related

ほり.jpg
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2009年08月28日

喜びも悲しみも幾年月。

神保町シアターで上映されている
「昭和の二枚目・佐田啓二」特集の1本、
「喜びも悲しみも幾年月」を観てきた。
木下恵介原作・脚本・監督。
1957年松竹大船映画。
出演、佐田啓二、高峰秀子、田村高弘etc。

よくテレビの「懐かしの昭和名画」みたいな番組で
概要は知っていたが、全編を観たのは今回が初めて。

物語は、列島各地の灯台を、夫婦で点々と赴任して、
そのなかで、いろんな人とのふれあいや、
子供の成長、家族の絆などを描いている。
時代は昭和7年から32年までの長期にわたるもので、
戦時下の厳しい時代を家族とともに生きて、
最後は灯台守ならではの感動的なシーンで終る。

時々、「清子、次は北海道に行くことになった、
次は、御前崎だ、次は○○だ・・・」というセリフがあったが、
どこかで聞き覚えがあるなぁと思っていたら、
そう、「秘密のケンミンSHOW」の東京一郎のドラマだった♪

映画では、観音崎から北海道、南の孤島女島、佐渡、御前崎・・・と
それぞれに特長のある灯台が登場したが
最も気に入ったのは、瀬戸内海の男木島灯台。
御影石でできた美しくコンパクトな灯台で、
一度見ただけで、行ってみたい!と思った。

館内は、以前よりもますますゆるくなってきたような感じで
スクリーンで子供をあやすシーンがでてくると
おばさんが「おぉ〜、おぉ〜」などと言ったり
となりのおばさん同士で話しだしたりと、
まるで茶の間のような雰囲気だった。

見終わって帰ろうしたら
「よしもとグッズコーナー」(2Fが神保町花月なので)に
バッファロー吾郎の「オモシロクナール」があったので購入。
最近、おやじギャグにキレがないなぁと
悩んでいたところなので、一錠飲んでみよう!
〈写真:左から「昭和の二枚目・佐田啓二」ポスター/
「喜びも悲しみも幾年月」ポスター/シアター内/オモシロクナール〉

カンバリソーダとフライドポテト/吉田拓郎
http://www.youtube.com/watch?v=LZv5xSbgT00&feature=related

bungei.jpg喜びポスタ.jpgシアタ.jpgオモシロ.jpg

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2009年08月26日

復唱するは我にあり。

家にいたら、電話で生命保険の勧誘があり、
そういえば最近の保険業界や商品は
どんなふうになっているのかと思い、
ついつい話をきいてしまった。
もちろん、最後は、
「保険は、ちょっとアレなんで・・・」と
言って断るつもりであった。

「へえ〜、安いですね」
「入院費は結構かかるんですねぇ」とか言っているうちに
そろそろ出かける時間になったので
「やっぱり、保険はまだ必要ないんで・・」と言うと、
相手は、「え゛〜!」と逆ギレぎみになり
さらに強い口調になって、
こんなに話しをしたのに!的な態度に出た。
(相手はまだ新人ぽい男性営業マン)

こちらも、だんだん語気が荒くなり
「保険はイヤなんですってば。
保険金が支払われないケースもたくさんあるし!
また入りたくなったら、こちらから電話しますから!」と言った。

すると相手は、「じゃあ、メモってくださいね、
電話番号は0120-000-000 担当の○○ですから!」
と言うので、ハイハイと聞き逃していると
「電話番号、復唱してもらえますか?!」
と命令口調で言ってきた。(最近は、どこもこうなのか?)

え? なんで、こっちに命令するんだ、こいつは!上官かぁ!
と思いながら、つい反射的に復唱してしまった!!

あ〜、くそ〜、なぜ言いなりになって
復唱してしまったんだぁ!
これで、なんだか闘いに負けたような
相手に屈服したような気持ちになってしまった。。。
なぜあそこで、
「なんで復唱しなくちゃいけないんだ!おぅ?」
と強気に出て、言うべきだったのに。。。
もっともっと場数を踏まんといかんなぁ。

復讐/東京事変
http://www.youtube.com/watch?v=T1Hcbr7WcOY&feature=related


posted by ボイシー日記 at 10:33| Comment(2) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月24日

明るい農業と友情の「遠雷」。

またまた、古い映画、根岸吉太郎監督「遠雷」のDVDを入手した♪
原作は立松和平。ATG映画のなかでも大好きな作品だ。
切ないストーリーと、宇都宮の風景、井上堯之の音楽とが
一体となって胸に迫ってくる。栃木弁もいい感じ。
(「青春の蹉跌」もそうだが、この頃の映画音楽は井上堯之が最高♪)

いま農業を始めたいという若者が多いと聞くが、
この映画の中でも、汗を流し、ハウスの温度管理をしながら、
トマトづくりをしている農家の若者がリアルに描かれ、心を動かされる。


宇都宮でトマトのビニールハウス栽培をしながら
母とボケが始まった祖母と3人で暮らす満夫(永島敏行)が主人公。
親父(ケーシー高峰)は家から出ていて、田んぼを売ったお金で
妾(藤田弓子)にバーをあてがい、狭いアパートで同棲している。

ある日、満夫に見合い話が持ち上がり、
ガソリンスタンドで勤めるあや子(石田えり)と会い、
その日にいきなりモーテルに行く。
どこかヤンキーで開放的な地方都市の若者らしくていい。

「ハウス、手伝いに行ってもいいわよ。」
と言って結婚をほのめかすあや子は、
必死に婚活をする今の人たちとは違って、ゆるい感じがいい。
あや子は「子供ができるまでは楽しいこといっぱいしたいわよ。」と
言いながら、子供が出来てしまう。

朝から晩までのトマトづくり、トマト価格の暴落、見合いから結婚の準備、
スナックのママやママの亭主(蟹江敬三!)とのやりとりなど、
ふだんのなにげない生活が展開される。
そして満夫の友人、広次(ジョニー大倉)も田んぼを作っていて、
忙しいときはお互い手伝ったりしている。
しかし広次が、スナックのママと駆け落ちをして事件を起こすことになる・・。


これは、農家の若者が夢をもって農業を続けて行く話でもあるが、
一方で、男友達の友情の話でもある。

満夫は、あや子が女友達に満夫を紹介したいというときも
広次がスナックのママと駆け落ちをしたと聞いて
その約束をすっぽかして一晩中探しまわる。
また、ふたりの結婚式の夜も、
事件を起こした広次の電話を受けて結婚の祝いの席を抜け出し、
ビニールハウスで広次の独白を夜明け近くまで聞いてあげる。

二人でハウス栽培をしていくという将来への夢と希望があふれ、
かつ男の友情や、あっけらかんとした地方都市の若者たちに共感できる
見終わって、切なくもすがすがしい気持ちになる素晴らしい映画だ。

わたしの青い鳥/桜田淳子
http://www.youtube.com/watch?v=KIH2836GdJI

遠雷.jpg

posted by ボイシー日記 at 14:07| Comment(0) | 音楽・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月18日

佐野元春×松本隆。

今も80年代の香りをプンプンさせている
佐野元春のNHK番組「songwriters」に松本隆がでていて
松田聖子プロジェクトをはじめ、
いろんな話をしていて面白かった。

 そういえば昔は、佐野元春DJの
 NHKFM〜サウンドナントカてっいう
 番組聞いてたなぁ。
 その頃と全然、しゃべり方かわってない!
 ポエトリーなダイアログって感じや♪

対話のなかで、作詞家はヒット曲をつくらなければ
ならないという大命題があり、
曲は売れてナンボだけど、
つくるときには時代を意識した
マーケティングやテクニックではなく、
自分の感性を大事にして書くのがいいという。

流行にばかりとらわれて創っていると、
発売になる頃には、1年ぐらいすぐ過ぎてしまい
つまらないものになるという。

たとえば一発屋芸人をCMとかに使うと、
完成してオンエアされる頃には、
もう消えていたりするということか♪
藤崎マーケット、どこ行ったかなぁ。。。

好きな言葉は「風」だとか。
カタチのないものは、
聴く人の数だけ自由な発想や思いが広がりやすい。

さて、オイラも落ち穂のようなこのブログで、
書きたいことを書いていくか・・・。

松田聖子メドレー
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=9oyBQ-Q3I88&feature=related


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2009年08月15日

佐藤春夫「田園の憂鬱」。

佐藤春夫の「田園の憂鬱」を読んだ。
素晴らしい!なにが素晴らしいって、
読んでるこちらの気持ちがだんだん重く沈んで、
すっかり憂鬱にさせてしまう。
これでもかというほど、憂鬱のオンパレードだ。

主人公は、武蔵野辺りの藁葺き屋根の家に引っ越し、
奥さんと犬二匹、猫一匹と暮らし始める。
いまでいえば、可愛いペットに囲まれて
のんびり優雅に山の手暮らし・・と思いきや
いろんなことに苛まれ、だんだん病的になっていく。
普通ペットと一緒に暮らせば
気持ちは癒され、家庭円満♪となるのだが
ここでは、これっぽちもない!
よくここまで、マイナス思考というか
悪いふうにとらえられるなぁというほどだ。

憂鬱にさせる原因を並べてみると
柿や梅の木で日光を遮られている薔薇、
松の木、桜の木に纏わりついた小面憎い藤蔓、
ランプに来た馬おいを弄んで食べる猫、
長雨が続いて蚤がわく犬、
運動不足で起きる慢性の胃病、
縁側まであがって糞尿する隣りの家の鶏、
はたまた魂が抜ける離魂病ではないかと疑ったり。。
そのうち都会の幻想が見えたり、
幻聴がはじまり神経衰弱していく。

最後は、綺麗に咲いた薔薇にさえ、
茎から葉の裏までびっしりと虫がいた。。。
もうこれで憂鬱度数はMAX♪ 発狂しそうだ。
びっしりと虫が這っている薔薇とは、
病んだ主人公のことでもあった。

本のタイトルから、田園と憂鬱とはしっくりこなかったが
都会生活にはない怖さが田舎暮らしにはあり、
「田園」をあなどってはいけないと思った。
田園に蠢いている自然の素顔や
近所の人たちとの関係も含め、
怖さみたいなものが次から次へと出てくる。

オイラの憂鬱体験は、長野に引っ越したときだ。
まだ家では祖父母がおり、
離れの家で「お蚕様」を飼っていた。
昼下がりなどに離れの家に入って行くと、
外気より何度か低い空気が漂い
何枚も重ねられた棚の上で、蚕がもぞもぞと動き
シャワシャワと桑の葉を食べる音がして
胸がざわついたことを覚えている。

碧いうさぎ/酒井法子♪
http://www.youtube.com/watch?v=8_BjvIq4zzM&feature=related


田園.jpg

posted by ボイシー日記 at 14:59| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月09日

一週間サスペンス。

先週はなにかと芸能界がにぎやかで
けっこうワイドショーを見てしまっていました♪

それにしても、失踪していたと思われたアイドルが、
一転容疑者として逃走、そして逮捕という
サスペンス劇場を思わせる展開に
ハラハラドキドキしました。
更正して、今後の人生を歩んでいってほしいものです。

ところで、警察沙汰といえば、
オイラも空き巣に間違われて
パトカーに乗せられたことがある。

まだ荻窪で働いていた20歳頃、
お昼を食べようとぶらぶらと住宅街を歩いていたら
「お〜い、ちょっと。」と声がしたので(黒いカバン風に)
振り向くとパトカーからおまわり君が降りてきて
手を掴まれ、無線を口にもっていくと
「確保しました。」なんぞと報告していたのでした。

なにをしてんねん!と声を立てると
「さっき、そこの家で空き巣があって、
あなたの服装、背格好がそっくりなんでね。」
などと言うのでした。

そのままパトカーに乗って、近くの派出所まで行き
すわっていろいろ尋問されていると
外の道路を一台の車がゆっくりと通り過ぎ
車内で被害者であろう人がチラッとこちらの顔を見て
首を横に振ったのでした。

そしたら、「あっご苦労。もう帰っていいかんね。」などと軽く言われ、
いくら犯人逮捕に協力しなくてはいけないとはわかっていても
そのおまわり君の横柄な態度に、ムカムカしたのであった。

黒いカバン/どんと
http://www.youtube.com/watch?v=e_T07BlM_NA


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