2011年12月27日

2011年読本・備忘録。

そろそろ2011年も終わり。
で忘れないように、今年読んだ本のリスト。
今年は臼井吉見の「安曇野」を読んで明治・大正・昭和の時代に浸り、
32年ぶりに復刻した関口良雄の名著「昔日の客」に心揺さぶられ、
野呂邦暢、庄野潤三などの静謐な世界を知った。
野呂邦暢は手放せない本になりました。

余談ですが、本つながりで、BOOK OFFでよく流れている
西田エリの「灰色のカラス」いいですね♪

■小説・随筆
【野呂邦暢】草のつるぎ・一滴の夏〈狙撃手/白桃/日が沈むのを/草のつるぎ/
一滴の夏〉(講談社文芸文庫) 小さな町にて(文藝春秋)
海辺の広い庭〈海辺の広い庭/不意の客/歩哨/狙撃手/或る男の故郷〉(文藝春秋)
野呂邦暢作品集〈十一月/鳥たちの河口/壁の絵/冬の皇帝/諫早菖蒲日記/
花火/古い革張椅子(抄)他〉(文藝春秋)  
【庄野潤三】自分の羽根/夕べの雲/舞踏/プールサイド小景/相客/蟹/静物
【井伏鱒二】山椒魚/屋根の上のサワン/川/さざなみ軍記/駅前旅館/鯉
【森鴎外】舞姫/青年/百物語/阿部一族/普請中/花子
【小川国夫】マグレブ、誘惑として/リラの頃、カサブランカへ/弱い神/悲しみの港
【古典】古事記 万葉集(日本の古典を読む4-小学館) 
今昔物語集(日本の古典を読む12-小学館) 正法眼蔵〜日本の名著7〜(道元) 
【その他】不如帰(徳富蘆花) 家〈上・下〉/千曲川のスケッチ(島崎藤村)
門(夏目漱石) 安曇野第1部〜第5部(臼井吉見) 
或る女/一房の葡萄/小さき者へ(有島武郎) 春琴抄/蘆刈(谷崎潤一郎) 
出家とその弟子(倉田百三) 親鸞と道元(五木寛之・立松和平) 
親鸞〈上・下〉(五木寛之) 機械・春は馬車に乗って(横光利一) 
芥川龍之介全集〈第十三集 =湖南の扇/追憶〉(芥川龍之介) 
芥川竜之介書簡集(石割透編) 
龍之介地獄変/龍之介怪奇譚(小沢章友) 武蔵野夫人(大岡昇平)
萩原朔太郎〈月に吠える/青猫/ウォーソン夫人の黒猫/猫町他〉(ちくま日本文学)
わたしの源氏物語(瀬戸内寂聴) 日本の古典に親しむ〈1〉源氏物語(円地文子)
わかれば「源氏」はおもしろい(寂聴対談集) 昔日の客(関口良雄)
魂がふるえるとき(宮本輝編) Dの複合/西郷札/昭和史発掘2(松本清張)
百万遍・流転旋転〈上・下〉(花村萬月) 人間小唄(町田康) 
戦後短編小説再発見〈1〉/〈3〉(講談社文芸文庫) 楽しい古事記(阿刀田高) 
失われた時を求めて2/第一編〈スワン家のほうへ2 集英社文庫:鈴木道彦訳〉(M・プルースト) ジーキル博士とハイド氏(スティーヴンスン) 悪の花(ボードレール 杉本秀太郎訳) モデラート・カンタービレ(マルグリット・デュラス) ABC殺人事件(A.クリスティ) 消しゴム/覗くひと(アラン・ロブ=グリエ) エミリーの薔薇(W.フォークナー) 


■評論・評伝・実用ビジネス書
日本的霊性(鈴木大拙) 道元断章(中野孝次) 原子炉時限爆弾(広瀬隆) 
小林秀雄講演CD「第1巻:文学の雑感」「第2巻:信ずることと考えること」
「第6巻:音楽について」「第7巻:ゴッホについて・正宗白鳥の精神」
城山三郎講演CD第一集/私の好きな日本人 第二集/気骨の人-広田弘毅と浜口雄幸
孤独の愉しみ方(H.D.ソロー) 大切な教え(ショーペン・ハウアー) 
萩原朔太郎「猫町」私論(清岡卓行) 朔太郎とおだまきの花(萩原葉子) 
明治快女伝(森まゆみ)
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2011年12月26日

腱引き食事会@水天宮。

友だちが「古式腱引き(けんびき)・筋整流法」という伝統の施術で
いろいろな身体の悩みを抱えている人たちをみてあげている
道場を開いているので、ちょっと様子を見に行ってきました。
そこで身体を調整してもらいつつ、食事会も。

「古式腱引き」とは、武術・柔術の世界で、
ひっそりと今に伝わっている秘伝の施術。
門外不出といわれてきた施術で、
例えばぎっくり腰とか痛めた身体もほんの数分で治す術です。
(信じられないという人もいるでしょうが、こればかりは
体験した人でないと、そのありがたさは実感できないでしょう。)

「腱引き」とは、マッサージとは違い、
身体の腱を引いたり弾いたりして、血流やリンパの流れを良くしてあげます。
使っていなかった腱も刺激することで、身体がリセットされ
身体内の「流れ」を改善してあげる施術だそうです。

また「うつ」などに悩む人たちにも効果的だと思います。
事実オイラの友達も、抗うつ薬やら精神安定剤やら睡眠剤を飲んでいて
相当身体に負担がかかってしまい、
とくに首などは、さるすべりの木肌みたいにコチコチに固かったのが
施術をしていただいて、次の日にはそんなひどい症状が和らぎました。
すばらしいものです。薬に頼らずに「うつ」を治す一条の光だと思います。

ちなみに下記が、施術してもらえる水天宮道場です。
ご近所にお住まいの方、あるいは職場が近いという方は退社後にいかがですか。
道場といっても、マンションのワンルームを施術室にしています。
患者さんの様子をみながら、無理をせず効果的な施術をめざすので
お気軽にどうぞ、と温厚な施術師・渡邊が申しておりました。
ちなみに施術師の渡邊と、女性スタッフ(奥さん)1人がおります。
女性お一人でも安心してどうぞ。

◎古式腱引き・筋整流法 日本橋道場
http://kenbiki-utu.jp/index.html


さて、食事会のほうですが、奥さんがグラフィックデザイナーをしているので、
そのつながりで、広告やマスコミなど広い分野で活躍されている
プロのフードコーデイネーターという方がいらっしゃって、
おいしい料理の数々をごちそうになりました。

メイン料理は「塩豚」。
豚肉の塊に粗塩をすりこんで3日ほど寝かせたもので、
食べ方は焼いたのと、蒸したもの、2つ用意されていましたが
肉は柔らかく、適度な塩加減で、とてもおいしかったです。
タレも、にんにく醤油と甘辛味噌の2タイプのバリエーション。

そのほかにも、土鍋で炊いた中華おこわ、薬膳白湯スープ、
蓮根煮、人参の葉ペペロンチーノ、野菜サラダなど豪華なものでした。
いつも、家で醤油味と和風だしの料理しか食べていないオイラには、
とても贅沢な一夜でした。

〈写真 腱引き施術中/塩豚蒸し/塩豚焼き/中華おこわ/人参の葉ペペロンチーノ〉

施術.jpg蒸し豚.jpg塩豚.jpgおこわ.jpg人参.jpg
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2011年12月22日

厚揚げの味噌炒めと豚汁。

テレビの料理番組で小松菜と厚揚げの味噌炒めを紹介していて
ちょうど我が家にも、冷蔵庫に厚揚げがあり、
干し椎茸なんかもあったりしたので、
番組ホームページを参照しながら作ってみました。

まず厚揚げを5分ほど鍋で茹でて余分な油分を除き、
酒と醤油で下味をつけて片栗粉をまぶしておきます。

青々とした小松菜を1袋まるごとざっくり5cmほどに切って炒め、
いった取り出し、次に厚揚げと、水で戻した干し椎茸、
葱、にんにく、生姜を一緒に入れて炒めます。
しんなりしてきたら、味噌と豆板醤、
醤油、砂糖を混ぜた合わせ調味料を投入。

そこに炒めて取り出しておいた小松菜を戻して、
最後にごま油をさっとかけて完成。
肉もいいですが、厚揚げもボリュームがでて、何よりヘルシー。
甘辛で、ビリッとした味に仕上がりました。
ちなみに小皿は、木曽からもらってきた「すんき」です。

ついでに、先日作った豚汁もアップ。
寒いときは、あたたかな豚汁が頼りになります。
お金があると懐があたたかいと言いますが、
豚汁が台所にあると、なぜか寒い冬を乗り越えられる気がします。

小松菜厚揚げ.jpgすんき.jpg豚汁なべ.jpg豚汁椀.jpg
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2011年12月17日

10年ぶりでした、冬の木曽谷。

長野県の木曽に母方の親戚一族が暮らしており
そこで忘年会をやるというので、出かけてきました。
新宿から高速バスに乗り10年ぶりぐらいに木曽福島に着いたけど、
印象としてはあまり変わっていませんでした。

昼ご飯を食べに、日本でも屈指の寒冷地・開田高原へ。
「まつば」という店で木曽地方伝統の乳酸発酵食品
「すんき」を入れた「すんきそば」を食べました。
昔来た時も食べましたが、酸味の効いた味で、
そばに入れたり、そのまま花鰹と醤油で食べたりと
けっこう好きです。身体にも良いです。

その後、母の従姉にあたる人の家を訪ねました。
その人は懐かしい顔をして開田弁でずっと話していましたが、
半分ほどしかわかりませんでした。。
その家にあった炬燵は、中心に薪ストーブが置いてあり、
炬燵とストーブが一体化した珍しいもの。
これは開田高原では当たり前らしいです。。
話をしながら薪をくべるおばあさんは、絵になっていました。

その後、忘年会をする木曽駒高原ホテルへ。
このホテルでは親戚の人が何人も働いており、
いろいろ気を使ってもらいサービス満点でした。
ゴルフ場がすぐ横にあり、夏は大忙しだそうですが
今はオフシーズンなので館内に宿泊客はなく、
全館貸切状態という、とてもリッチな気分でした。
晴れた日には、露天風呂から雄大な御岳山も望めます。
このホテル、じつはオイラも学生時代に皿洗いのバイトで
来ていたのですが、その頃の記憶はほとんど消えてます。

次の日は、車で30分ほどのところにある奈良井宿へ。
NHKドラマ「おひさま」でブームになり、
ゴールデンウイークとかは駐車場に入りきらずに
駐車待ちの車が国道19号線に数珠つなぎだったみたいです。
宿場の通りは千本格子が美しい伝統的な建造物が保存され、
当時の雰囲気が伝わってきます。
気温2℃、小雪がちらつき観光客もわずか。
開いている店も少なく寒々しい雰囲気でしたが
そこがまた旅情を誘いました。

それから福島関所跡、島崎藤村の姉・
園さんが嫁いできた高瀬家の資料館へ。
木曽へ行くことになって島崎藤村の「家」をあわてて再読。
書き出しにある「橋本家の台所」が
残っていると思って期待していましたが
昭和2年の「木曽福島の大火」で住居は焼失してしまったとのこと。
大火で一部残った土蔵が今の資料館になっていて
島崎藤村の書や書簡、小説のモデルと
なった人たちの写真が展示されていました。
高瀬家の末裔にあたる人が
管理をしていて、いろいろ解説してくれました。
「家」にでてきた、中央本線の複線化で
庭が削られたという話も聞きました。

いきなり母が、「小学生の頃、高瀬先生に習ったけど、
先生はまだご健在ですか?」というと
「あぁ、そうですか、まだ健在ですよ」という返事。
えぇ? うちの母親はそんな話を今まで全然したことが
なかったのにと思い、こんど詳しく聞こうと思いました。

しかし、今回の旅行、親戚の家をあちこち訪ねるたびに、
お茶と漬け物、みかんが炬燵に並べられて常に満腹状態でした。
「千曲川のスケッチ」に「信州人ほど茶好きな人達も少なかろう」と
書かれているが、いまも根強くその文化は残っています。
帰りには、叔父さんが作っている自慢の「すんき」と
芳香堂の「そば饅頭」をもらって帰りました。
オイラも自分で「すんき」を作ってみるべか。。

〈写真 木曽福島駅/開田高原のすんきそば/薪ストーブ&こたつ/
木曽駒高原ホテル/奈良井宿1/奈良井宿2/福島関所1/福島関所2/
高瀬家資料館入口/高瀬家資料館の土蔵内〉

木曽駅.jpgすんきそば.jpg開田炬燵.jpg木曽駒ホテル.jpg奈良井1.jpg奈良井2.jpg関所1.jpg関所2.jpg高瀬資料館.jpg高瀬内部.jpg

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2011年12月09日

敗北を抱きしめて次代へ、安曇野・第五部。

臼井吉見の「安曇野・第五部」読了。
これで「安曇野」すべて読み終えました。ふ〜、長かった。
明治時代から生きてきたような気分です。

中村屋では、安雄一家が、平河町から
三鷹・大沢の中村屋牧場近くへ引っ越してきていた。
五日市の寺で疎開していた愛蔵・黒光は
ボースの哲子を養女に迎え相馬哲子とする。
哲子は樋口浩と結婚する。
昭和21年6月には、愛蔵・黒光が五日市から
三鷹・大沢の中村屋牧場跡に引っ越す。

新宿の中村屋跡地一帯は、尾津組に占拠されていて、
安雄達がかけあっても相手にされずにいた。
その後、警視庁に泣きつき、
焼けビル裏に天幕を張って、かりん糖を売り出すまでになる。

石川三四郎は、大宅壮一らとの交流がはじまっていた。
大宅壮一は、軍の報道班として戦地へ行っていたが昭和18年に帰国。
その後、世田谷八幡山に地所を買い、畑をつくって暮らす。

二人と交流のあった、杉並区長の
新居格(にい・いたる)の素顔も紹介されている。
新居格は区長として、将来の区の構想などを語っているが
そのなかで「杉並区に住む青年男女は、聡明な眼差しをして
知性の高さを示し、交わす言葉も優れた戯曲の中の
台詞のようであってほしい」と言っている。
また「子供たちにとっても、杉並全体が
グリム童話そのままでありたい」と語っている。
けっこうロマンチストだ。
新居格は、新感覚派の文筆家で
「モボ・モガ」という言葉を作った人だとか。へぇ〜。
パールバックの「大地」の翻訳などもしている。
そんな人が区長をしていたなんて知らなかった。

長野県の教育界については、
シラカバ教員の小林多津衛をはじめ、
彼と交流のあったさまざまな人について書かれている。
また信濃教育会は全体として児童を大切にして
権力に迎合しない姿勢を貫いていたが
組織体となると逆で、昭和初期のファシズムが吹き荒れると
国家権力へ進んで協力するようになり
たとえば、全国一多数の満蒙青少年義勇隊を
送り出していると書かれている。

小林多津衛つながりで、柳宗悦のことも書かれている。
彼は大正5年に初めて朝鮮に渡り、高麗の陶磁器、
雑器のもつ寂しい姿、人なつっこい悲哀の美にすっかり魅了される。
それ以来、ことあるごとに朝鮮へ行く。
日本の雑器の素晴らしさにも触れ、無名の職人がつくった
彩りもなく貧しく素朴なものの中に高い美が宿っていることを広く紹介する。
また、甲府でたまたま目にした木喰上人の
仏像にも心を奪われ、各地を訪れるようになる。
京都では、浜田庄司、河井寛次郎らとの交友が生まれる。
日本民芸館は昭和11年に誕生する。

戦後処理の、東京裁判についても延々と記されている。
裁判の様子、裁判に対する関係各国の思惑などが語られている。
インドのパール判事は裁判そのものを批判し、
全被告の無罪釈放と米国の原爆投下を責めた。

中村屋は店舗を改修し、敗戦3年目の5月に
1階の販売所と喫茶室を開店した。安雄が新社長になる。
朝鮮動乱のはじまった1950年に、
三鷹・大沢牧場敷地内に黒光庵が誕生する。
その後、中村屋従業員たちがその黒光庵に集り、
老夫婦を囲んだ和やかな謝恩会のシーンがある。

その謝恩会で、ヤマザキパン誕生の話なども紹介されていて興味深かった。
謝恩会に出席した一人、飯島藤十郎は
ヤマザキパンの創業者で、以前は中村屋で働いていた。
創業者の名をとり飯島パンとつければいいのだが、
飯島藤十郎は別の団体でパン製造に携わっていたので
その名前では認可が降りなかったというのもあるが、
パン製造販売の拠点となったのが妹の店だったので、
妹婿である山崎要太郎から、ヤマザキパンと名付けたのだという。
すでに故人となっていた山崎要太郎への哀悼の意味もあったらしい。

そして物語は終末へ。
愛蔵は脳軟化が進み、昭和29年、入院先で死去、85歳。
その一年後に、黒光も追うように亡くなった、80歳。
第五部は、黒光が死去したところで終わる。
その後は、臼井吉見自身の戦争体験の話や後日談が綴られていました。

しかし、「安曇野」は、明治〜昭和近代史の
教科書のサブ読本みたいな読み物だった。
ここではざっくりとメモがわりに書いていたが
明治・大正・昭和時代の空気や、
政治から文芸まで多彩な分野にわたるさまざまな登場人物の素顔、
あまり知らなかった長野県の歴史、
そしてなによりカレー好きなオイラとしては、
中村屋の歴史とインドカリーのルーツがわかり、
大満足の長編小説でした。♪
posted by ボイシー日記 at 19:31| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月03日

山王書房を訪ねて。

先日、関口良雄の「昔日の客」を教えていただいた
オンライン古書店店主のK氏から、
「山王書房の関口夫人とご縁ができて、
こんど会いに行くんだけど、一緒に行く?」とメールがきたので、
「え?本当ですか? ぜひっ!」と興奮気味に返信し、
おじゃま虫ながら、昨日ちゃっかり同行させてもらいました。

山王書房は、大田区大森にあった古書店で、
昭和52年に主人が亡くなるとともに閉店。
今は普通の住まいになっており、
関口夫人はそこで静かに暮らしていました。

玄関を入るとまず目についたのが、
尾崎士郎の書による「山王書房」という扁額、
そして尾崎氏の形見分けという狸の置物も置いてありました。
1階の奥の部屋には、主人の蔵書、親交のあった作家さんたちとの
想い出の品々や貴重な執筆原稿、資料が収蔵されていました。
「昔日の客」の口絵としていい味を出している
山高登の版画もたくさん飾られていました。
口絵は版画の一部でしたが
全体を見たら、関口さんが花束をもって
歩いているのが彫られていました。(写真参照)

夫人がおもむろに書棚から取り出したのが、
上林暁の「関口君を憶ふ」という直筆原稿。
拝見させていただき、いちおう写真を撮りましたが、
ここには載せられないほど、
それは病を押して書かれた壮絶な筆でした。

夫人は、もうご高齢なのに明るくお元気で、
いろんな話を僕たちに聞かせてくれました。
とくに印象的だったのが銀杏の話。

「銀杏が好きだった夫は、近くの寺に眠っていますが
この季節になると、お墓の周りには黄葉した
銀杏の葉がいっぱい落ちるんです。
いつもはきれいに掃除をして帰るんですが
銀杏が好きだった主人のために、
この時期だけはそのまましばらく掃かないで
色づいた銀杏の葉を楽しんでもらっています(笑)。」

あ〜、なんて心やさしい人なんだ!とうるうるしました。
持参した「昔日の客」にサインをしていただき、
これだけでも感激だったのに、
昭和56年発刊の貴重な三茶書房「銀杏子句集」、
夏葉社「関口良雄さんを憶う」をいただいて帰ってきました。

夫人の素敵なお話をたっぷり聞かせていただき、
忘れられない一日となりました。

〈写真 尾崎士郎書の扁額/尾崎士郎形見分けの狸の置物/蔵書/
夫人サイン他/山高登氏版画曙楼、「昔日の客」口絵〉

山王扁額.jpg狸.jpg蔵書.jpg夫人サイン.jpg山高.jpg
posted by ボイシー日記 at 13:25| Comment(0) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする